2025年を迎えて不動産投資市場に大きく影響を与える重要な法改正・ルール変更がいくつか予定されています。
「囲い込み」を実質的に規制(2025年1月)
宅地建物取引業施行規制が改正され1月1日より施行された。
「両手仲介」などを目的に、売主から売却依頼を受けた不動産会社が自社で買主を見つけるために物件情報をあえて公開しない、あるいは情報を偽るなどをする「囲い込み」。
一部の不動産会社は、レインズに物件情報を掲載する際、一切引き合いがないにもかかわらず「購入申込あり」などして状況を偽り、他の業者からの問い合わせを断るなどして、「囲い込み」を行なっているとされる。
こうした行為は、売却依頼者の機会損失につながるとして以前から問題視されてきた。
この「囲い込み」を実質的に防ぐために今回の改正で取引の状況について正しく登録を行うように定められました。
今回の改正で、登録内容が実態と異なる場合には罰則の対象となることが明示されたが、実効性などには疑問の声も上がっています。
今後の運用状況に注目です。
建築基準法改正で「4号特例」縮小へ(2025年4月)
この春、一定規模以下の建築物(4号建築物)を対象とした「4号特例」制度が大きく見直されます。
これにより不動産投資にも少なからず影響が及ぶと考えられます。
そもそも「4号建築物」とは、建築基準法6条1項4号に規定されている建物で、例えば木造2階建てなどの小規模な建築物などが該当します。
一般的な戸建て住宅など、4号建築物に当たるものは多いので、申請業務簡略化のため、構造など一部の審査が「特例」として省略可能となていた。これが「4号特例」と呼ばれる制度です。
今回の改正ではこの4号建築物は条文から削除され、存在しなくなる代わりに「新2号建築物」「新3号建築物」に振り分けられることにります。
木造2階建て住宅や一定規模以上の平屋建て住宅は「新2号建築物」に分類され、当然ながら「4号特例」制度の対象外となります。これまでの4号特例の内容が適用されるのは「新3号建築物」のみということになります。
4号特例の縮小によって不動産投資家にどのように影響が及ぶのか?
特に注意が必要になるのは、リフォーム・リノベーションを行う場合には確認申請が必要になる可能性があるということです。
これまでは4号特例により、4号建築物では、柱や梁などの骨組みを残した全面的なリフォームやリノベーションを行う場合も確認申請は不要でした。
しかし、新2号建築物については、大規模な修繕や模様替えといった改修工事に該当すれば、確認申請が必要となってきます。
申請手続きには既存建築物の法規チェックや図書の作成などが必要になり、これまでよりもコストと時間を要することになります。
プロパンガススキーム規制(2025年4月)
賃貸集合住宅向けのプロパンガス(LPガス)料金について、給湯器やエアコンなどの設備費用の上乗せを禁止する制度改正が4月2日に施行されます。
プロパンガス業界では、「大口顧客」である賃貸住宅オーナーなどを取り込むため、給湯器やエアコンなどの高価な設備をタダ同然で提供する慣習がありました。
「プロパンガススキーム」として知られるこの慣習は、不動産投資家にとってはリフォーム費を浮かせたり安価にバリューアップできたりとメリットが大きいとされていました。
一方でこうした「過大な営業活動」がエスカレートしてガス会社の負担が大きくなり、入居者が支払うガス料金に上乗せされるという問題もあったのも事実です。
そこで経済産業省は取引を適正化するため、過大な営業行為の制限や、ガス会社からオーナーへの利益供与を発見した際の「通報フォーム」の設置を2024年に進めてきた。
2025年から適用されるのは、「三部料金制の徹底」だ。基本料金・従量料金・設備料金からなる三部料金制で、設備費用を別途表示することが求められる。
また、ガス消費と関係のない設備費用はガス料金への計上が禁止される。賃貸向けLPガス料金においては、ガス器具等の消費設備費用についても計上禁止となるようです。
これまでスキームに依存した賃貸経営をしてきた投資家にとっては今回の改正は影響が大きいですね。
改正後の賃貸物件オーナーの動向が気になります。