はじめに
結論から先に・・・
『住宅ローンで不動産投資をしてはダメです!』
住宅ローンで不動産投資をすることは「ルール違反」なのです。
そのため、借入先の金融機関から
「ローン一括返済」を求められ結局“自己破産”している人が急増しています。
今回は、同じ不動産業界にいるものとして、ちゃんとした知識を知ってもらうためにこのブログを書きます。
住宅ローンで不動産投資をしてはいけない理由
住宅ローンは不動産投資ローンよりもかなり低金利です。
当然、低金利で借りた方が利回りが上がります。
そして住宅ローンは基本フルローンで組めることが大きなメリットでもあります。
住宅ローンの大原則として、「本人または家族が住むための家」に対して融資されるものです。
①貸し倒れリスクが少ない
②担保を付けるので回収できる
③団体信用生命保険に加入するため保険で回収できる
上記のメリットがあるため通常の融資に比べて低金利で貸し出されています。
また、住宅支援機構の「フラット35」も人気の住宅ローンです。
住宅ローンで不動産投資をしてはいけない理由の一つとして、住宅ローンを借りるさいに金融機関と交わす「金銭消費貸借契約書」があります。
その約款が重要です。
自らかその家族が居住するための家の購入資金での使途に限定する。
借り入れ後に変更する(住宅ローンの融資対象物件を賃貸物件とする場合等)場合は、あらかじめ銀行の承諾を得るものとし、
銀行が承諾した場合には銀行の指定する他のローンへの切り替え等の銀行の銀行所定の手続きが必要となる場合には当該手続きを直ちに行う。
借主について次の各号の事由が一つでも生じた場合には、借主は本債務全額について当然に期限の利益を失い、
借入要項記載の返済方法によらず、直ちに本債務全額を返済するものとする。
2.破産手続きをした
3.契約違反をした
4.契約時に虚偽の申告をした等
住宅ローンで購入した物件を「投資」として利用することは、金銭消費貸借契約書に違反するのです。
実際にあった例を紹介
不動産投資で不労所得を得られるとの触れ込みでセミナーに参加。
セミナーの内容は・・・
●自己資金ゼロで住宅ローンを組み、不動産オーナーになれる
●サブリース会社が35年物件を借上げ家賃を保証する→家賃滞納がない
●自分が死んだら「団体信用生命保険」に加入しているため生命保険代わりになる
金融機関とのやり取りに関して不動産会社は・・・
・「結婚するので自宅を買うと言ってください」
・「住民票を購入するマンションに少し移してください。1か月で戻して大丈夫。ローン審査のためなので、問題ないです」
とお願いをしたそうです。
そして自己破産へ・・・
1年後にローンを組んだ金融機関から通知が届きます。
内容は・・・
「購入したマンションに住んでいますか?」といった内容で、面談を要求されます。
その後、金融機関と話しますが、契約違反という形で「一括返済」を請求されることになります。
本来は売却して相殺できれば一番いいのですが、ここに住宅ローンの“落とし穴”があるのです。
★不動産投資の場合:物件の担保評価と属性で融資金額が決まる
★住宅ローンの場合:債務者本人の属性で決まる
つまり、住宅ローンに関しては債務者の属性のみで融資が決まるので、実勢価格と売買価格に差が出る可能性が高いのです。
実際、売却に向かって動いてみると2800万円で購入した物件には1300万円の査定額しか付かず、仲介した業者も連絡が取れなくなり弁護士に相談をしたところ自己破産することを勧められたそうです。
まとめ
私のブログでも『不動産投資』について何回か書いていますが、不動産投資の一番のリスクは“無知のリスク”です。
不動産投資は本来堅い投資ですが、一歩間違うと金額が大きいだけに一機に破綻に追い込まれ、投資のつもりが破産で追い込まれた例は後を絶たないようです。
当然、誘導した不動産会社も悪いですが、少しでも「何かおかしい」「このスキームで大丈夫か?」と思ったら必ず立ち止まることをお勧めします。
また、このブログを見て思い当たることがあるようであれば、すぐに弁護士等の専門家に相談することが必要です。
金融機関は決して待ってはくれません。