ビジネスと不動産経済を本気で考えるブログ

『いきなりステーキ』が本当に危険なことについて経営の視点から解説します。

このブログでも数回にわたり『いきなりステーキ』の件について書いてきました。

直近の内容

【いきなりステーキの動きが怪しい件・・・】

その時の記事は、唯一黒字のセグメントである“ペッパーランチ”を本体から外し子会社にしました。

予想として通常考えるのは黒字事業のペッパーランチを売却して資金を確保することですが、もう一つの方法として、「本体を上場廃止にして、ペッパーランチで再建からの再上場という可能性もあるのでは?」という記事を書きました。

 

まあ結果は、大方の予想通り“ペッパーランチ売却”というかたちになり、85億円の資金調達をすることが発表されました。

 

そして、7月31日に第一四半期と第二四半期の決算を同時に発表しました。

f:id:lidix:20200806134743p:plain

そして、BSを見ると資産55億円にたいして負債が167億円になりました。

俗に言う債務超過です。  

*債務超過・・・負債の総額が資産の総額を超える状態のこと。つまり資産をすべて売却しても負債を返済しきれない状態であること。
 
【ワンポイント】
本来、東証の規定では、債務超過になってから1年以内に財務状況が改善されなければ上場廃止というルールがあるのですが、 新型コロナウイルスの特別措置として猶予期間は1年から2年に変更されていますので、すぐに上場廃止になることはなさそうです。
 
今回は子会社のペッパーランチを85億円で売却することが決まっているため、現在の債務超過を回避することはできると予想されます。ただ、資金繰りがそのまま良くなることはないので、苦戦は続くことが考えられますのでご注意を。
 
そして、経営再建するために更なる資金調達を発表しました!
それは新株予約権を通じて投資ファンドから約100億円を調達することです。

f:id:lidix:20200806152835p:plain

しかしここで問題になってくるのは、調達したお金をうまく使ってくれればいいのですが、このケースは既存株主からすると株の価値が急激に低下するので面白くないでしょうね。

投資家目線でいくとあまり関わりたくない銘柄の1つということになりますね。
 
ちなみに、前回新株予約権を発行したとき(今年の1月)は、目標額69億円に対し、17億円しか調達できませんでした。
 
今回は100億円の資金調達を目指しますが、いきなりステーキの運営会社である“ペッパーフードサービス”は時価総額が約90億円です。
普通に考えると、100億円という時価総額を超えるを金額を調達できるかは疑問です。
 
また、別のIRでは、借入金や社会保険料に関しても支払いを猶予してもらっていると発表されています。
かなり危険な状況なのは間違いなさそうです。
 
しかし、ステーキ自体は本当においしいので、今後どのようにV字回復をするのかが注目ではありますが、毎日のコロナ感染の報道を見る限り、飲食業界にはまだまだ逆風が吹く感じです・・・。
 
 
 
 
 
 

 

著者プロフィール

Lidix

ライディックス株式会社 代表 山上 晶則

東京都で不動産会社を経営しています。
将来的に不動産経済がどうなるかは、あくまでも二次的な要因が大きいため、「国内外の政治経済や金融」、「異業種で成功している事例」などを分析することを得意としています。

このブログでは、現在の経済状況を自分なりに読み解き、時代に合った経営や様々な投資、そして、「何かに依存しない生き方」を求めて日々勉強している内容をアウトプットするために書いています。



SNSで最新情報を配信しています

関連記事

  • “バーガーキング“攻めのSNS戦略から学ぶこと

    “バーガーキング“攻めのSNS戦略から学ぶこと
    2019年12月28日

  • ボクシング観戦【和氣慎吾選手】

    ボクシング観戦【和氣慎吾選手】
    2019年10月14日

  • 【書評】いい本です!子供や若い人には是非読んでもらいたい本に出合いました。
    2020年8月31日

  • オリンピック中止、延期になったらどうなるスポンサー

    オリンピック中止、延期になったらどうなるスポンサー
    2020年3月23日

  • Lidix Online

    ライディックス株式会社のオウンドメディアです。ライディックス株式会社は、東京都練馬区より投資用アパート、戸建住宅を提供している会社です。

    Lidix Onlineは主にライディックス株式会社の代表 山上が考えるビジネス・マーケティングの視点から不動産を取り巻く環境について、情報発信を行っています。

    私達の事業分野である不動産は、あくまで社会経済の一部です。より堅実な投資とは何かを考察するため、日々マクロな視点とミクロな視点で社会情勢を追いかけています。


  • 新着記事

    • 住宅ローンの行方 2023年12月5日

    • 【書評】非常識な成功法則 ~神田昌典 著~ 2021年9月30日

    • これはリーマンショックの再来なのか⁉【中国恒大集団についての解説】 2021年9月24日

    • 予想通りビットコイン上がっているので簡単に解説します! 2021年2月14日

    • コロナ禍の中、ケンタッキー“カーネル・サンダース”の不屈の闘志から学ぶ 2021年2月3日

    アクセスランキング

    • なぜ飲食店が休業要請で危険な状況になるかを会計の視点からお答えします。

      なぜ飲食店が休業要請で危険な状況になるかを会計の視点からお答えします。 2020年7月6日

    • 今さら聞けない日本のバブル経済とバブル崩壊 2020年11月12日

    • メールやLINEの「返信」が遅い人は仕事ができない説

      メールやLINEの「返信」が遅い人は仕事ができない説 2020年7月9日

    • やはり、優秀な経営者がいる会社には投資するべきなのでしょう。

      やはり、優秀な経営者がいる会社には投資するべきなのでしょう。 2020年7月20日

    • スターバックスの“SNS戦略”から学ぶこと

      スターバックスの“SNS戦略”から学ぶこと 2020年6月16日