最近また“コロナ”の感染再拡大が大きく報道されています。
ワクチンが開発されたという話もでていますが、いつ認可が下りるのかも未だ分かりません。
我々企業は、新たな策を講じないと生き残れない状況に陥る可能性もあります。
そんな中、不況をチャンスを変えて事業の拡大に成功した企業の成功事例を知ることが重要でなないでしょうか。
アパグループの不況期
このブログでも何回も取り上げている不動産業界であると同時にホテル業界の雄でもあります。
リーマンショックが起きる前年の2007年は建物の構造計算書を偽造した耐震強度不足が社会問題になった時期でもありました。
そしてアパホテルにも強度不足のホテルがあったため、銀行は借入金の返済を求めたのです。
アパグループはどうしたかというと・・・
ホテル建設のために取得していた土地を売却し借入金の返済に充てたのです。
その直後にリーマン・ショックが起きて地価が暴落しましたが、アパグループは前年に不動産を売却したことが幸いし、借入金を返済しても同社には手元にまだ資金が残ったのです。
ちなみにリーマン・ショックの直撃を受けたマンションデベロッパーは、銀行から土地を手放すように指導され、いわゆる銀行の“貸しはがし”が行われました。
リーマンショックで逆に一等地をバンバン購入
不動産業界では銀行の貸しはがしが行われている中、リーマンショックの直撃を避けることができたアパグループは、都心部の土地を次々に購入していきました。
なぜ、都心部に集中したかというと、リーマンショックで地価が大きく下落したのが都心部だったからです。
都心部を購入した理由としては、地価がいっとき下落しただけで、将来は値上がりすると考えたようです。
アパグループの戦略としては、競合他社が意思決定できないタイミングで、一気に資金を集中投下することです。
この経営判断が、現在のアパホテルの都心部での占有率の高さを物語っています。
お値段以上“ニトリ”のケース
ニトリは「いかに安く商品を提供するか」を徹底し、問屋経由でなくメーカーから直接仕入れる方法に切り替え、1985年のプラザ合意による円高を契機に、海外から安く調達する方法を実践しました。その結果、ニトリが開発した輸入品の比率は90%以上を占めるまでになっています。
*プラザ合意を説明したブログはこちら
このニトリは、バブル崩壊やリーマンショック後でも成長を続けています。
そしてこの成長ができた理由として、ニトリの似鳥昭雄会長は「世間とは逆を行くことだ」言っています。
好況と不況は繰り返します。バブルの時は土地や建物の価格は倍以上に上がり、不況になれば半値になります。
このサイクルを理解して、好況の時は投資を半分に抑え、不況になったら投資を2倍にして土地や建物を積極的に取得していくという決断をするそうです。
常に景気予想する
バブルが崩壊した1993年にニトリは北海道から本州に進出をします。この時期は、土地と建物が3割から5割まで値が下がったからです。
そしてニトリは2008年に起こったリーマンショックをも予想し、備えもしていたようです。
・2008年の年明けに、手持ちの外国債券を全て売却
・5月には1000品目で値下げを行い想定以上の売上を叩き出す
・リーマンショック以降、3カ月おきに値下げを行いさらなる好業績にする
似鳥会長は、先を読む力が優れていると様々な雑誌やネットの記事で拝見しています。
景気が悪くなるのはいつかを常に調査していて、景気が悪くなった方がニトリにとってはチャンスが多いと指摘しています。
なぜなら、景気が悪くなれば投資が容易になり、優秀な人材が採用できるからです。
不況時の際は競合の業績が下降する中、景気をあらかじめ予想することで、ニトリは不況を経るごとに市場占有率を向上させていくととなります。
コロナ禍でのニトリ
似鳥会長が景気の先を読む具体的な方法として実践しているのは、米国経済の定点観測のようです。
同社では年2回、米国の市場動向を知るため視察に赴き、年間におよそ1200人の社員がアメリカで研修を行っています。
なぜアメリカなのかというと、アメリカは時代の最先端にいるので、アメリカの現状を把握するれば、日本の10年~15年が見えてくると指摘しています。
2020年3~5月期の決算:売上1737億円(前年同期比3.69%増) 営業利益372億円(前年同期比:22.3%増)
緊急事態宣言により最大で110店舗が臨時休業しましたが、リモート用の家具販売と、ECも好調だったようです。
通期でも増収増益を見込むと公表
まとめ
アパグループやニトリの成長要因は
①『競合が意思決定できないタイミングで一気に資金を集中』
②『世間とは逆をいく』発想
コロナの影響はまだしばらく続きそうですが、決して後ろ向きにならず、好機にとらえられるような発想が更なる成長につながるかもしれません。
“ピンチはチャンス”
この言葉がキーワードになりそうです。